バイブコーディング × Cursor 入門講座 03 (Webで動くチャットUIを作る) ─ 静的サイトでもリアルに動く!AI対話UIのはじめかた

はじめに

これまでの振り返りと目標

前回の記事で、チャットアプリのフロントエンドを作成するところまで勧めており、今回はその続きです。
詳細は以下の前回の記事を参照ください。

完成サンプルのデモも公開中です。

目標としては、ChatGPT(OpenAI)とAPI接続によるAI対話化まで進めていく予定です。

技術的な面で挫折した場合も、失敗事例としても参考になると思いますのでそのまま公開する予定です。

1. HTML/CSSによるチャットUIの再設計

このステップでは、既存のチャットUIを Tailwind CSS を活用して洗練されたものに再設計し、見た目とユーザビリティの両面から改善していきます。

目的

  • モダンでシンプルなデザインにすることで、ユーザーのストレスを減らす
  • モバイルでも快適に動作するレスポンシブな設計を目指す
  • 吹き出しUI+モーダル表示によって、自然な対話体験を提供

Tailwind CSS を用いたレイアウト設計

Tailwind CSSは、ユーティリティファーストなCSSフレームワークで、複雑なCSSを記述することなく、クラス指定だけでデザインが完結します。

以下は主なUIパーツとTailwindの活用例です:

UI要素 Tailwindクラスの例 説明
チャットバブル(自分) bg-blue-500 text-white rounded-lg p-2 自分の発言を青い吹き出しで強調
チャットバブル(相手) bg-gray-200 text-gray-800 rounded-lg p-2 相手(AI)の発言を目立たせず自然に表示
入力フォーム border rounded w-full p-2 focus:outline-none シンプルで美しい入力欄
モーダルウィンドウ fixed inset-0 bg-black bg-opacity-50 flex items-center justify-center 画面中央に半透明のオーバーレイ

スマホ対応のレスポンシブ設計

Tailwindでは sm:, md:, lg: などのブレークポイントを使って簡単にレスポンシブ対応が可能です。

<div class="max-w-md w-full sm:max-w-lg lg:max-w-2xl mx-auto">
  <!-- コンテンツ -->
</div>

このように、画面サイズに応じて最適な表示幅を調整できます。

吹き出し/モーダルUIの強化

UIの強化ポイント:

  • チャットがスクロールで追従する(overflow-y-scroll+max-height)
  • 吹き出しの向きを変えて対話っぽく(flex justify-start / justify-end)
  • メッセージのアニメーション表示(Tailwindの transition, duration-300 など)
Cursor:Webで動くチャットUIを作る-吹き出し/モーダルUIの強化> Cursor:Webで動くチャットUIを作る-吹き出し/モーダルUIの強化2>

完成品をgifアニメにしてみました。

Cursor:Webで動くチャットUIを作る-吹き出し/モーダルUIの強化>

理由とメリット:

  • 修正箇所が明確:Cursorは具体的なUI修正に強いです。上記のように意図を簡潔に伝えることで、DOM構造やTailwindのクラスを自動調整してくれます。
  • レスポンシブ設計の一部になる:スクロールや左右配置はモバイルビューでも効果的。
  • Tailwindのクラス適用はCursorが得意:一括置換・追加処理も迅速です。

補足

Tailwind CSS の導入メモ

現在はCDNで読み込んでいます:

<script src="https://cdn.tailwindcss.com"></script>

これで開発初期の高速プロトタイピングには十分ですが、ビルド最適化(本番用)には PostCSS などを使ったビルド型導入が望ましいです(今はCDNでOKです)。

Tailwindはクラス名が多くなりやすいので、class="…“の中の記述が煩雑になったら「このクラス整理して」と頼むのも有効です。

完成サンプル(参考)

すでに構築済みの /static/sample/chatui/ のスタイルをベースに、次は /chatui-ai/ に発展させていきます。

💡公開済みデモ: https://humanxai.info/sample/chatui/

2. JavaScriptによるチャット入力処理の実装

目的

  • ユーザーがメッセージを入力 → 送信 → 画面に表示されるまでの一連のフローを実装
  • 擬似的にAIの返信も生成して表示(後でChatGPT APIに差し替え可能な構造)

実装ステップ(index.htmlに直接記述)

以下の追加・変更を行ってください:

ステップ1:inputとbuttonを取得

const inputField = document.querySelector('input[type="text"]');
const sendButton = document.querySelector('button.bg-blue-500');

ステップ2:イベントで送信処理

sendButton.addEventListener('click', () => {
    const text = inputField.value.trim();
    if (text !== '') {
        addMessage('user', text);
        inputField.value = '';

        // 疑似的なAIレスポンス(2秒後に返信)
        setTimeout(() => {
            addMessage('ai', `「${text}」に関する情報を検索しています…`);
        }, 1000);
    }
});

ステップ3:メッセージ表示関数

function addMessage(sender, text) {
    const container = document.createElement('div');
    container.className = `flex items-start ${sender === 'user' ? 'justify-end' : 'justify-start'} space-x-2 message-animation`;

    const bubble = document.createElement('div');
    bubble.className = `${sender === 'user' ? 'bg-green-50' : 'bg-blue-50'} rounded-lg p-3 max-w-[70%] shadow-sm`;
    bubble.innerHTML = `<p class="text-gray-800">${text}</p>`;

    const icon = document.createElement('div');
    icon.className = 'flex-shrink-0 w-10 h-10 rounded-full flex items-center justify-center';
    icon.classList.add(sender === 'user' ? 'bg-green-100' : 'bg-blue-100');
    icon.textContent = sender === 'user' ? '🧑‍💻' : '🤖';

    if (sender === 'user') {
        container.appendChild(bubble);
        container.appendChild(icon);
    } else {
        container.appendChild(icon);
        container.appendChild(bubble);
    }

    chatContainer.appendChild(container);
}

一連の実装方法をマークダウン形式で作成しました。

MarkDown-File: chatui-js-spec.md

これをCursorへドロップしこのファイルを元に実装してくださいと要求。

@chatui-js-spec.md

このMarkdownで要件定義された機能を index.html に追加してください。
現在のUIはTailwind CSSベースでモーダル表示になっています。

- ユーザーの入力を取得し送信
- メッセージの表示を左右で分ける
- 疑似AI返信(1秒後に返信)
- メッセージが追加されたら下にスクロール
- すでにあるHTML構造に組み込んでください(ファイルは index.html)
Cursor:Webで動くチャットUIを作る: Markdownで要件定義された機能を index.html に追加 1
Cursor:Webで動くチャットUIを作る: Markdownで要件定義された機能を index.html に追加 2
Cursor:Webで動くチャットUIを作る: Markdownで要件定義された機能を index.html に追加 3

完成したものをGIFアニメ化。

Cursor:Webで動くチャットUIを作る: Markdownで要件定義された機能を index.html に追加(完成品)

📌 メモ

  • Cursorは @ファイル名 を入れることで対象ファイルをスコープできます。
  • Apply to index.html でコードが直接提案されるので、Accept でそのまま挿入可能です。
  • 途中で不要な変更が入った場合は「Reject」や「編集して適用」も可能です。

補足Tips(さらに便利)

  • Enterキー送信の実装 も後で追記依頼できます(「Enterでも送信できるようにしてください」)。
  • 擬似返信は setTimeout を使ってるので、後から fetch() 経由でChatGPT APIに差し替え可能です。

ここまでの流れ:

  • テキスト入力欄・送信ボタン・Enterキーで送信
  • 自動スクロール・メッセージ追加
  • 入力欄リセット・バリデーション

3. OpenAI APIを使ったチャットの実装(ローカル限定)

目的

  • ChatGPT APIを使って、実際にAIが応答するチャットUIをローカル環境で動かす
  • APIキーをHTMLに埋め込む形はローカルのみで使用
  • 公開用にはコードとGIFアニメーションのみ掲載し、キーは非公開

静的サイトでOpenAI APIを使ったチャットの実装する場合、セキュリティ問題として、APIキーの隠ぺいが難しい為、 とりあえずこのセクションではローカル環境前提で動作する所まで実装してみます。

くれぐれも、ここでやった内容をサーバに上げて一般公開しないようにしてください。

index.htmlファイル内にAPIキーを記載したまま公開するのは非常に危険です。

もし誤って公開してしまった場合は、APIを削除すれば悪用されません。

APIキーは、公式サイトで確認できます。

Open AI - API keys
https://platform.openai.com/api-keys

GitHubを使う場合の注意点

ここまでの流れはgitコマンドを使い、定期的にgitHub上にデータをpushしています。

Cursorで作成したindex.htmlファイルは、ローカル環境で動かす前提で進めますが、もし同じようにGithubを利用の元で進めていく場合、APIキーを保存するファイルを公開しないようにしてください。

リポジトリを非公開設定にするか、若しくは、.gitignore に除外パスを追加してください。

うちは、ルートディレクトリにcursorを作り、その中にChatUI-aiフォルダを作りプロジェクトを管理しており、この場合は以下になります。

.gitignore

/cursor/ChatUI-ai/ /cursor/ChatUI-ai/*

既に、cursor/ChatUI-ai/をpush済みでトラッキングを継続するような場合、Git による追跡を解除してください。

git rm -r –cached cursor/ChatUI-ai/

–cached を付けることで、ローカルには残しつつ、Gitの追跡だけ外します。

その後、git pushして.gitignoreファイルの設定が反映されているか確認。

git commit -m “Stop tracking ChatUI-ai for security reasons”
git push

今後は .gitignore が有効になります。

この操作を行った後であれば、cursor/ChatUI-ai/ 以下に新しいファイルを置いても、GitHubには反映されません。

もしこれでも駄目な場合は、

.git/info/exclude

に同じように追加する事で回避できます。

1:OpenAI APIキーを取得

  1. 以下のURLからOpenAIの公式サイトにアクセス
    👉 https://platform.openai.com/account/api-keys

  2. ログイン後、「Create new secret key」ボタンをクリック

Cursor:Webで動くチャットUIを作る:OpenAI APIキーを取得 01 Cursor:Webで動くチャットUIを作る:OpenAI APIキーを取得 02
  1. 表示されたAPIキーをコピー(一度しか表示されません!)
Cursor:Webで動くチャットUIを作る:OpenAI APIキーを取得 03
  1. テキストエディタなどに一時保存しておきます(sk-XXXX…)

2:fetchChatGPTResponse 関数を index.html に追加

<script>
const OPENAI_API_KEY = "sk-XXXX..."; // ←取得したキーをここにペースト(ローカル限定)

async function fetchChatGPTResponse(message) {
  const res = await fetch("https://api.openai.com/v1/chat/completions", {
    method: "POST",
    headers: {
      "Authorization": `Bearer ${OPENAI_API_KEY}`,
      "Content-Type": "application/json"
    },
    body: JSON.stringify({
      model: "gpt-3.5-turbo",
      messages: [{ role: "user", content: message }]
    })
  });

  const data = await res.json();
  return data.choices?.[0]?.message?.content || "No response";
}
</script>

3:送信ボタンにAPI呼び出しを組み込む

既存の sendButton.addEventListener(‘click’, …) の中に以下を追加:

sendButton.addEventListener('click', async () => {
  const text = inputField.value.trim();
  if (text !== '') {
    addMessage('user', text);
    inputField.value = '';

    // 一時的に「Thinking...」を表示
    addMessage('ai', 'Thinking...');

    try {
      const reply = await fetchChatGPTResponse(text);
      // 「Thinking...」を最後のバブルに置き換える
      const lastBubble = document.querySelectorAll('.ai-bubble:last-child')[0];
      if (lastBubble) lastBubble.innerHTML = reply;
    } catch (error) {
      const lastBubble = document.querySelectorAll('.ai-bubble:last-child')[0];
      if (lastBubble) lastBubble.innerHTML = "⚠️ エラーが発生しました";
      console.error(error);
    }
  }
});

新たに chatui-js2-spec.md を作成し、要件定義を作成して送信。

取得したAPIキーを貼り付けて動作チェック。

Error Code 429

上手く行くかに見えたのですが、何度やっても429エラーになるようです。

developertoolのエラーメッセージをCursorへ貼り付けて見ましたが、OpenAI側でアクセスをはじかれてる以上、修正する事は困難で、エラーメッセージを日本語化して修正されたのみでした。

OpenAIのステータス画面を見るも過剰なアクセスがあった痕跡はなく、なによりCursorとAPIキーを使った通信処理は問題なく動いてるので、ChatGPTに聞くもセキュリティ上の問題ではないかとの事。

以下、ChatGPTのメッセージ:

補足:セキュリティの話
Cursorはサーバー経由で安全にAPI呼び出しをしているため、うまく通るのです。
あなたのコードのように 完全なフロントエンド(=index.htmlのみ)では、CORS制限やレート制限のトリガーにされる可能性が高いです。

本格運用するなら Node.js + Express や Cloudflare Workers などを使って、APIキーをサーバーで隠蔽する必要があります。

ここで、行き詰ったので一旦終了?

上手く行くと思ったのですが、なかなか難しいですね。

API 利用には課金が必要

2024年以降、OpenAI APIの無料枠($5相当クレジット)は廃止されたため、現在は 課金しない限り API の利用は不可 になっています。

この為、これ以上の動作テストをする事は難しい事が分かりました。

注意点としては、ChatGPT Plusへの課金と、OpenAI APIへの課金は別枠であるという事。 なので、ChatGPTを課金契約していても、OpenAIのAPIが使えるわけではないようです。

この辺りの情報はネット上に結構ありますので、調べると多数出てきます。

以前、無料でAPIを利用した経験があるので、てっきり使えるものとばかり思ってましたが、暫く見てない間に状況が変わったようです。

大きな金額ではないので課金も考えましたが、WEBで公開してしまうと直ぐ上限に達しそうなのと、今後APIを利用する場面がなさそうなので、別の用途で課金する必要が出た場合、この件の続きを記事にしてまとめる予定です。

残念ですが、この件はここで一旦とめます。