[パソコン] OCCTでPCの安定性をチェックする:インストールからVRAMテストまで解説

はじめに

先日の記事で、クラッシュ問題は解決したのですが、グラフィックボードのメモリチェックできるアプリがあるようなので、インストールと動作チェックしてみたので、メモを兼ねて記事にしてみます。

1. OCCTとは?

OCCT(OverClock Checking Tool) は、フランスの開発チームによって作られている ハードウェア診断・監視ツール です。

名前の通りもともとは「オーバークロック設定が安定しているか」を確認するためのツールでした。

しかし現在では機能が大幅に拡張され、

  • CPU、GPU、メモリ、電源ユニットのストレステスト
  • 温度・電圧・消費電力のリアルタイム監視
  • VRAM(グラフィックメモリ)のエラーチェック

といった 一般ユーザーでも役立つ「不調診断ツール」 として広く使われています。

特に便利なのは、負荷テスト中にエラーがあれば即座に検出 してくれる点。ハードウェアの不具合や、電源不足・冷却不足といった問題を短時間で切り分けできます。

また、個人利用であれば 無料版(OCCT Personal Edition) で十分です。有料版との違いは商用利用や長期のレポート出力などで、家庭での診断や検証用途には不要です。

2. OCCTのインストール方法

公式サイトにアクセス

👉 OCCT公式ページ

. 「Download」から Personal Edition(無料版) を選択。

  • 個人利用ならこれで十分です。

インストール手順

  1. ダウンロードしたインストーラ(OCCT.exe)を実行。

  2. 画面の指示に従って「次へ」を押すだけで完了します。

    • 特別な設定は不要。デフォルトでOKです。
  3. インストール後、デスクトップまたはスタートメニューから起動可能。

起動時の注意

  • 初回起動時に 管理者権限 を求められる場合があります。ハードウェア監視に必要なので許可してください。
  • 言語は標準で 英語表示 ですが、アイコン中心のUIなので直感的に操作できます。

3. 基本画面と機能の紹介

OCCTを起動すると、左側に大きなメニュー、右側にモニタリングやテスト設定が表示されます。 直感的に操作できるので、まずは全体像を押さえておきましょう。

左メニュー(テストの種類)

  • Stability Test 総合的なストレステストを一発で実行。PC全体の安定性をざっくり確認したい時に便利。

  • CPU + RAM CPUとメインメモリに負荷をかけて検証。オーバークロック時や突然のフリーズ原因切り分けに有効。

  • CPU CPU単体を集中的にテスト。温度上昇やサーマルスロットリングを確認できる。

  • Linpack もっとも過酷なCPUストレステスト。高発熱なので温度チェック用として短時間の実行推奨。

  • Memory メインメモリのエラーチェック。MemTest86のような役割で、不安定動作の切り分けに。

  • 3D Adaptive GPUに高負荷をかけるテスト。ゲーム中やレンダリング中に落ちる場合に有効。

  • VRAM グラフィックボードのメモリ(VRAM)をチェック。表示の乱れやフリーズの原因調査に最適。

  • Power CPUとGPUに同時に負荷をかけ、電源ユニット(PSU)の安定性を確認する。電源不足の切り分けに。

  • Combined システム全体に総合負荷。実運用に近いテスト。

右画面(モニタリング)

  • CPU/GPU温度消費電力クロック数使用率 をリアルタイムで表示。
  • 温度や電圧のグラフが流れるので、異常が一目で分かる。

テストの種類と使い分け

  • CPU:計算負荷をかけて発熱やクロック落ちを確認
  • Memory:システムRAMに誤りが出ないか確認(MemTest類似)
  • VRAM:GPUのビデオメモリに誤りが出ないか確認(今回実施)
  • 3D Adaptive:GPUに3D負荷(ゲームプレイ相当)をかけて安定性確認
  • Power:CPU+GPU同時フルロード(電源ユニットの限界をチェックできる)

4. 使い方(例:VRAMテスト)

  1. 左メニューで「VRAM」を選択

  2. 「Memory」使用率を指定(推奨 80%〜90%)

  • デフォルトでは「80%」になっている。
  • GPUのVRAMのうち、どれだけを検証に使うかを指定できる。
  • 特に理由がなければ 80% のままでOK(フルで回すとOSやアプリが使う分が足りなくなる場合がある)。
  1. テスト開始
  • 左下の 「START」ボタン を押すとテストが始まる。 -進行中は「No errors detected」と表示され、異常があればその場でエラー数がカウントされる。
  • 同時に右側にGPU温度や電力がリアルタイム表示される。
  1. テスト時間
  • デフォルトは「1h 00min(1時間)」
  • 基本は 30分以上エラーが出なければ概ね正常 と判断できる。
  • 念のためフル1時間完走させると安心。
  1. 結果の確認
  • 正常 → 「No errors detected」と表示される。
  • 異常 → エラー数が赤字で表示される。
  • エラーが多発する場合は、GPUのVRAM故障・接触不良・OC設定不安定が疑われる。

5. その他の便利機能

OCCTはストレステストだけでなく、日常のハードウェア監視ツールとしても役立ちます。

🔹 リアルタイムモニタリング

  • CPU、GPU、メモリ、マザーボードセンサーの情報を一覧表示。
  • 温度、クロック、消費電力、ファン回転数などがグラフで確認できる。
  • フリーズやクラッシュの直前の挙動を把握するのに有効。

🔹 レポート出力

  • テスト結果やモニタリングログを CSVやグラフ付きで保存 できる。
  • 長期的に「どの温度で不安定になるか」を記録しておける。
  • 不具合の再現性が低い場合、証拠データとして残しておくとトラブルシューティングが進めやすい。

🔹 電源チェック(Power Test)

  • CPUとGPUを同時に高負荷状態にするテスト。
  • 電源ユニット(PSU)の限界や、供給が不安定な時にフリーズしやすいかどうかを確認できる。
  • 「高負荷時だけ落ちる」「ゲーム中だけ止まる」などの症状切り分けに便利。

🔹 システム情報の確認

  • CPUのモデル名やスレッド数、GPUの型番とVRAM容量などを一覧表示。
  • ドライバやOSのバージョン情報も簡単にチェック可能。

6. 判定の目安と注意点

OCCTのテストはとても強力ですが、結果の見方や使い方を間違えると判断を誤ることがあります。 ここではチェックの基準と注意点を整理します。

✅ 判定の目安

  • No errors detected → テスト中にエラーが1件も出なければ、基本的にそのパーツは正常。

  • 数分でエラーが出る → ハード故障やオーバークロック設定の不安定が濃厚。特にVRAMテストで出る場合はグラボのメモリチップ不良が疑われる。

  • 長時間(1時間以上)で稀にエラー → 軽度の接触不良、熱による誤動作、または電源供給の揺らぎが考えられる。

⚠ 注意点

  1. テスト中の温度上昇に注意

    • 夏場や排熱が悪い環境では、CPUやGPUが80〜90℃に達することもある。
    • 温度が高すぎる場合は無理に続けず中断する。
  2. 完走しても不具合がゼロ保証ではない

    • 稀に「実運用でしか起きない不具合」が存在する。
    • 例:アイドル時のフリーズ、特定アプリ使用時のみのクラッシュ。
  3. 電源やマザーボードの不具合は見抜きにくい

    • VRAMやCPUが正常でも、PSUやマザーボードのコンデンサ劣化でフリーズすることがある。
    • その場合は「Power Test」や長時間のCombinedテストを併用。
  4. 他の診断と組み合わせるのがベスト

    • メモリはMemTest86、ストレージはCrystalDiskInfo、システムファイルはsfc /scannowなど。
    • OCCT単独ではなく、複数のツールでクロスチェックすると信頼性が高まる。